CEO MESSAGE

代表メッセージ

CEO MESSAGE

私が医療的ケア児や重症心身障害児に関わるようになったのは、2017年にある家族との出会いからでした。

当時は、40歳以上の方にリハビリを提供する施設を運営し、私も現場に出ていました。ある日、営業が終わった夕方に、車いすに乗った男の子と、車いすの取っ手を持ちながら何とか歩いている装具をつけた男の子、そしてその母親が訪ねてきました。お母さんは、「この子たちのリハビリをお願いできますか?」と私に聞いてきました。

制度上はリハビリを行うことができないということをお伝えした上で、リハビリをしたい理由を聞きました。

お母さんは、

「子どもが小学校に上がったらリハビリの数が減ったこと」
「身体のことで困っていることが増えてきたが、相談する場所がないこと」
「それは自分の子どもだけでなく、障害を持った多くの子どもたちが同じ境遇であること」

など、その理由を話してくれました。

その話を聞いて、営業終了後にボランティアで、その子どもたちのリハビリをすることにしました。子どもにリハビリをする時にお母さんと沢山話をしました。その中で、障害を持った子どもたち、そして家族の取り巻く環境が整っていないことで、家族への負担が非常に大きいことを知りました。

当時は40歳以上を対象にサービスをしており、2012年に事業を立ち上げた時は、地域でリハビリを受ける環境がありませんでした。地域で安心してリハビリを受けられるようにしたいという思いで、事業を立ち上げて取り組んできましたが、時代と共に地域でリハビリを受けられる施設が増えてきて、40歳以上の方々が、地域でリハビリを受けたくても受けられないという状況は解消されていました。

そんな時だったので、「リハビリを受けたくても受けられない子どもたちがいる」という事実を知り、自身でできることはないだろうかと情報を集めました。そこで知ったのが「放課後等デイサービス」という制度でした。

「無いなら自分がつくる」

そう決めて、2019年に放課後等デイサービスを立ち上げました。開設すると多くの医療的ケア児や重症心身障害児の方がいるという現実を目の当たりにしました。

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「預かってくれて助かる」
「リハビリをしてくれてありがたい」
「仕事をすることができる」
「きょうだいの習い事に付き添える」

など喜びの声をたくさんいただきました。

そして、更なる現実を知りました。ケアの多くを家族がしていることです。医療行為は医療者または家族しか行うことはできません。そこに携わる医療者が少ないので、当然家族が行うことになります。24時間365日ケアをすることもある。そして医療的ケア児や重症心身障害児のケアが生活の中心になり、親御さんが仕事をセーブしたり、辞めたり、きょうだい児が習い事に通えなかったり…

子どもたちへの直接的なケアだけでなく、そのご家族にも大きな負担があることを痛感しました。

私には痛いほど分かりました。なぜなら私の兄が障害を持っていたからです。兄は高校生の時に事故に合い、障害を持つことになりました。そこから家族は大きく変化していきました。兄を介護するために両親は仕事を抑えなければならず、経済的に非常に苦しくなりました。私も思春期だったので、障害を持つ兄を受け入れることができずに、距離を取り、周囲に隠しました。

「兄がいなければ良かったのに」

こんなことを思ったのは一度や二度ではありませんでした。今となっては、障害を持ちたくて持ったわけではない兄に対して、そんなことを考えることは良くないことであると分かりますが、高校生の私は未熟であり、介護する両親の姿を見て、そんな思いになりました。

人は余裕がなくなると、何かのせいにしたくなる。

きっと、障害のある子どもを持つ親御さんも最善を尽くしているはずですが、家族であっても一人の人間です。余裕が無くなれば、私と同じような考えになっても全く不思議ではありません。

子どもが生まれる時は障害を持って生まれるということを想像する人はいません。子どもが生まれたらこんなことをしよう、あんなことをしようと思っていたはずです。それができない中で、精一杯子どもたちのケアをしているのです。

そのケアを私たちが担うだけでも、家族に余裕が生まれてきます。

私たちの存在があることで、ご家族がご家族の人生を豊かにすることが出来る。存分に働いたり、習い事をしたり、趣味をしたり、行きたいところに行ったり、食べたいものを食べたり。

人が当たり前に経験することができることも、障害のある子どもの家庭では当たり前ではないこともたくさんあります。

私にはもう一つ原体験があります。私は最初の子どもは死産でした。妻のお腹の中で亡くなりました。今の医療なら助かっていたかも知れない。障害を持っていたかもしれない。

実際に障害を持っていたら、その子を、今関わっている親御さんのように育てることができるのだろうかと考えた時に、自信を持って「できる」とは言えません。

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だからこそ、今、育てている親御さんを心から尊敬しています。子どもたちの人生はもちろんのこと、家族の人生の質を向上させていくことも私たちの役目です。

だから、私たちは子どもたちへのケアでの質はもちろんのこと、それ以外の取り組みも積極的に行っています。

すべては、子どもたちと家族の「できる」をつくっていくために。

最近、きっかけをくれた子どもたちとお母さんに最近再会しました。

車椅子の子は元気に施設に通っていて、装具をつけて何とか歩いていた子は自分で電車に乗っていることをお母さんがうれしそうに話してくれました。

そのお母さんの嬉しそうな顔は忘れないですし、子どもたちだけでなく、家族の笑顔を私たちはつくり続けていくということを改めて決意しました。

できるを一緒につくっていくことに本気で取り組んでくれる方をお待ちしています。

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代表取締役社長

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