Y.H

Y.H

理学療法士

一緒に、社会に新しい価値観を 作っていきましょう

私は、十愛療育会という重症心身障害児者の入所施設を母体とする法人で、小児の理学療法士として勤務してきました。
十愛療育会では、入所施設での勤務に加え、青葉区の療育センター、非常勤での訪問リハビリ、知的障がいのある子の放課後等デイサービス、役所での発達相談など、幅広い業務に携わってきました。
障がいのあるお子さんの1歳ごろから、入所では70代の利用者さんまで、さまざまな年代の方と関わってきました。
それぞれのライフステージを通じて、その時々にどのような支援が必要なのかを学ばせていただきました。私の強みは、この「経験の幅広さ」にあると考えています。
そんな私が、多くの経験を与えてくれた前職を辞め、ハビリスに転職した理由、そしてハビリスでのやりがいや、社会から求められていることについてお話しさせていただきます。
まずは、現在のリハビリテーションを取り巻く課題についてです。
現在、小児期発症の疾患へのリハビリテーションは、「センター集中型」が主流となっています。たとえば、「このエリアに住んでいる人は、このリハビリ施設へ」といった具合に、利用できる場所が区切られています。

横浜市は、他県と比べて療育センターの区分けが明確で、支援に漏れがないようフォロー体制が整っています。そのため、問題がないように感じる方もいるかもしれません。
しかし、実際には、人口に対して小児リハビリを行える施設はまだまだ少なく、特に学齢期以降はリハビリテーションの頻度が下がる傾向にあります。必要としている子どもたちが、必要なサービスを十分に受けられていないのが現状です。
私が十愛療育会の入所施設で外来リハビリを担当していたとき、150人ほどの利用者を抱えていました。その人数では、どう頑張ってもリハビリの頻度を確保することは困難でした。
では、セラピストの数や施設を増やせばいいのでは?と考えるかもしれません。
現在、学齢期の理学療法は、月に1回程度のフォローが多く(個々の事情で差はあります)、仮にセラピストが倍に増えても、月に2回になるだけです。たとえば、ダイエットをするとき、月に2回のジム通いで大きな成果を得られるでしょうか?
それよりも、毎日10分の運動を“習慣化”するほうが、効果的であることは実感として分かるかと思います。
重症心身障害児者の複雑な身体には、より継続的で丁寧なアプローチが求められます。
つまり、リハビリを提供できる施設や人材を増やすことは、根本的な解決にはつながりにくいのです。

では、どうすればよいのでしょうか?
鍵は「毎日の習慣化」にあります。
放課後等デイサービスは、週1回〜週5回という頻度でお子さんと関われる、より地域に密着した支援の場です。
この預かりの時間が質の高いものであれば、外部のリハビリに匹敵する、もしくはそれ以上の支援が可能になると私は考えました。
その思いから、私はハビリスへ転職しました。
実際に、私が直接理学療法を提供できる時間は限られています。
しかし、日々お子さんと関わっている看護師や保育士、児童指導員といった多職種の方々に、リハビリの視点を共有していくことで、ケアの質を向上させることができます。
結果として、私がいなくても、お子さんが快適な空間(人的・物的環境が整っている状況)で過ごすことができるようになるのです。
これは、ダイエットで言うところの「毎日10分の運動の効果」にあたります。
実際には、放課後の活動時間は1時間弱程度あるため、もっと多くのことができます。
この預かりの時間を有効活用することで、療育センター以上の支援が可能になると考えると、ワクワクしてきませんか?
本人の「できた」を育てる仕組みが、ここにはあります。これが、ハビリスの“日常の預かり支援”です。

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